Dr.CoffeeBreak
飾り気がなく、清潔感のある施設、地下二階。階段を降りて数歩のところで、砂埃をはらっているのは黒髪でメガネをかけた女性です。髪がベタついているのは、この施設に着くまでに浴びた海風のせい。
「ミュライダ、また花名切博士に化けて外に出たんですか」
出迎えたのは身長百六十センチほどの白いスーツの女性。
「ん、ああ。もうもとに戻ってええな」
ミュライダと呼ばれた女性の身長は、百五十半ばで白いスーツの女性より少し低く。
「そういう話じゃないでしょうミュライダ。ここに花名切博士が出入りしていること自体が問題なんですからね」
「はは、擬態魔法使わんと外出たら、私みたいに特異な髪色しとる魔導師は目立ってしゃあないやろが」
「ならわざわざ花名切博士の姿にしなくてもよいでしょう。もっと、無名の人を選ぶとか」
「印象に残らん人物選ぶのは面倒やろ。それに、映ったらあかんカメラのあるようなところに行ったわけじゃなし。それに花名切への擬態は質あげとるからなぁ、試験せなあかんやろがな。おまえならその重要性わかるやろ」
あくび混じりにそう言う花名切博士――――の体は足元から湧き出るように発生したアセチレンランプのような色の光に包まれ、メチメチ、ビシビシ、キキ、と音を立てながら少しづつ、背が伸びていきました。そこそこ長さのあった髪はスルスルと縮んでショートカットとなり、色もどんどんと明るくなっていきます。
「やっぱ自分の姿のほうが心地ええわなぁ。背小さくしとると、肩こる気ぃするわ。あかん、視力も戻ったでくらくらするがや。再現しすぎるんも考えもんやで」
光は足元から上に向かうように失われていき、白い天井に吸い込まれるように消え去ります。そこに、黒髪の女性の面影はなく……身長百七十センチ以上はある、灰褐色に消え入りそうな赤と青の細い筋が入り混じった髪と、腐ったルビーのような瞳を持つ女性が立っていました。これがミュライダの本来の姿。花名切という名の別人に成り代わっていたのです。
「磨いてしまっとけや」
ミュライダは、メガネを外し放り投げるように白いスーツの女性に渡し、白スーツの女性は片手で上手に受け止めます。
「しまった、服きたままだったやんけ。花名切の服は、きっつきつであかんわ。これ靴脱げるんかいな……あかん、感覚戻って痛なってきたわ。やっぱ擬態のカスタムは難し……おい、ぼさっと見とらんと手伝わんかいや」
ミュライダは、体が大きくなったことで脱ぎづらくなってしまった服を脱ぐのを手伝わせた後、下着を引っ張るように脱ぎ捨て、素っ裸で廊下を歩きはじめます。
「ミュライダ、なぜ出かけたんですか」
「そない怒らんでもええやろがな、ブレクナム」
その後をついていく、白いスーツの女性の名はブレクナム。明らかに怒っている彼女をミュライダはまるで気にせず、廊下の奥を目指していました。
「今の時代は、擬態より解析のほうが上回ってるんですよ。それに、関西弁だかなんだかわからないぐちゃぐちゃの喋り……日本語が苦手なら、翻訳術式使ってくださいよ」
「あれ、嫌いやねん。騙そうおもたら勝手に口動くようにまでせなあかんし。まぁ、花名切はずーっと日本におらん博士だもんで、日本語下手でも違和感ないやろ。それに私の本当の顔なんて、写真一枚たりとも、データひとかけらたりとも、だーれにも手に入れられとらんわ。知られとんのは悪名だけやがな」
「三ヶ月前に妹さんが捕まったの忘れたんですか、そっくりなんですよあなたたちは。違うのなんて髪の長さくらいじゃないですか!」
「はは、身長も一センチちがうがな。まぁ、あれは阿呆やけど馬鹿ではないやもんで、わざわざ姉がおることなんて言わせんわ。あれはレアスキル持ちやから、そこそこ大切にはしてもらっとるやろ」
扉をあけて入ったのは研究室。ミュライダは背もたれにかけてあるよれた服は無視して、裸のまま椅子に座り、机の上のリモコンを手に取りクーラーを稼働させます。
「とりあえず、それでいいんで服着てください」
「クーラー効くまで待ったれや。つーかいちいち切るなや。電気代もったいないなら、私と関係ない電化製品全部外してまえ」
「はぁ……。で、なにしに外に出たんです?」
ブレクナムは、苛立ちを隠さないまま尋ねました。
「心配せんでもええがなブレクナム。私もな、あんまり目立つといかんと思ったもんで、不用意に歩ったりせず、やりたいことは全部護衛にやらしたんや。私は始終、車から見とっただけやがな」
「やりたいこと……? え……それ……」
まるでタイミングを合わせたかのように研究室の扉が開き、屈強な男が、どう見ても人間のくるんである、テープでぐるぐる巻きの黒いビニール袋を二つかついで持ってきたのです。
「そのへん置いとけや」
「はい。ドクターミュライダ」
「おい、いつまで立っとんねん! さっさといねや! 今ブレクナムと話しとるんやぞ!」
「は、はい。申し訳ございません、ドクターミュライダ」
焦った顔で謝罪し、急ぎ退室した男が残した黒い包みは床にごろり。全く動かないそれを見たブレクナムの顔は、カァッと赤くなります。
「ミュライダ!」
「なにキレとるんやブレクナム。ちゃんと足つかんようにさらってきとるんやから、別にええがや」
「そういう問題ではっ――――。はぁ、誰なんですかそれ」
怒りを飲み込み、ブレクナムは尋ねます。
「魔導士協会にな、ダンビラドグマとかいうけったいな二つ名のついた、裏切り者を何人も、つまりは元身内だった人間を何人も粛清した魔導士がいるって聞いたんやけどな。そいつが最近部下をもったらしくてな」
「え、邪教討伐隊さらってきちゃったんですか?」
今度は真顔でびっくり。
「いや、その部下の身内や。魔力量も既定値に満たない、カスほどの魔法も使えない、正真正銘の一般人やで。こいつらは公認絶縁者らしいから、ダンビラドグマの部下になった魔導士とは、もうなんも交流ないみたいやけどな」
「……じゃあ、なんでさらってきたんですか! 日本で一般人に手を出すってことが、どういうことかわかってるんですか!」
また、声を荒げて。
「興味あるやろ、公認絶縁者なんて。日本では、身内に魔導士が出たら、そいつと縁を続けるかどうか選択できる権利がある。そんなん人の発想ちゃうやろ? せやから連れてきてみたねん」
「いいですか? ちゃんとその二人家に返してくださいよ。いくら公認絶縁者だって言っても、行方不明になったら探されますからね。ここは日本なんですよ?」
「くどいぞブレクナム。ここはエリア51みたいなもんやから、まず見つからせんて。そのためにこない、冬にくっそ寒くなるところに来たんだもんでよ。そのへんおまえもよくわかっとるやろがい」
「あなたが日本にいる事自体を感づかれることが問題なんですって! 大物中の大物なんですよあなたは! 協会は常にあなたの首をねらってるんですからね!」
鼻息荒く怒鳴るブレクナムを見て、ミュライダは顔をしかめます。心底、面倒だといった顔で。
「あいあい、わかった。あいわかったやで。人間二人がめてきたくらいでそない怒りなさんなや。じゃあ、一応念のためにこいつらの記憶入れ替えておくわな。悪いけど、終わったら電話するで取りに来てや。一時間で終わらせるわな。それでええやろがい! はよいねボケが! 作業の邪魔や!」
「はい……わかりました」
突然怒鳴り返してきたミュライダに、ブレクナムは背を向け部屋を出ていきました。それが彼女の立場、ミュライダの命令に逆らえるほどの権限は持っていないのです。
それから五時間後、ミュライダに内線で呼ばれたブレクナムは研究室へと戻ってきました。ミュライダは全裸ではなく手術着で。胸には血が、スパッタリングで仕上げた絵画のように付着しています。
「これは……どういうつもりですかミュライダ……それに、そのパイプは……」
「首の真ん中から上が娘で下が親父や。見たらわかるやろ、切ってつないだんやで。口に突っ込んであるのは魔力供給のチューブやがな。そないなことも知らへんのか」
二体あったはずの体は一つ。父娘の首の太さの違いを補うためか、接続部を覆うようにテープがぐるぐると巻かれています。
「そういうことじゃないでしょう! 入れ替えるのは頭じゃなくて記憶のはずでしたよね!」
「あはは、これ見てジョーク言うだなんて、人でなしやんけ」
「ジョークなんて言ってません!」
「なぁ、どっちやと思う? この状態は、親か子か。体には、成すために使った器官がある。でも脳みそは成された方や」
全く会話にならないミュライダに、ブレクナムは拳を握り、それを振るわないように懸命に耐えていました。
「で……なんでこんなことしたんです?」
「なんやねんブレクナム、えらい怒っとるがな。ひどい顔やで」
「そりゃ怒りますよ! 娘の首を父親にくっつけた? そんな物見せられて、他にどう反応しろっていうんですか!」
「敵の調査やで。冷静に考えてみぃや。いくら私が天才だからって、生きたままの首の挿げ替えなんて成立するわけ無いやろがね。そんな術式もっとらせんよ」
「でも、成立してますよね」
「せやで。これは相当なレアケースやねん」
「……説明してください」
ミュライダは説明をする前に珈琲を入れろと催促し、ブレクナムは渋々従います。
「なんやこれ、くそ熱いやんけ」
「冷めてから飲めばいいんですよ。さ、説明してください」
「急かすなやせっかちが。まぁ、あれや。まず、親子それぞれにな、魔力をチューブで流し込んで疑似的な魔法使いにした。それでこいつらの特性を分析したったんや。な? それだけ聞けばわかるやろが」
と、面倒くさそうな顔で。
「わかりません」
「わかれやボケ。どう見ても、どう見たって見ての通りでしかないやろ。こいつらの血はな、魔力と化合すると、他人の体を自分の体に接続させて生存させる特性を持つ。その特性を、技術使って成立させたんが、目の前にある親子のハイブリッドやが。もっとも、切ってつないだ後は魔力の流し込み量を六倍にせんとあかんかったけどな。少しでも減らすと、死にそうになんねん」
「六倍って……大丈夫なんですか?」
半透明のチューブの中に満たされているのは、液体か、ゲルか。父親の腹部はぼっこりと膨らんでいます。
「別に。そこそこ過剰なだけやから平気やで。ちょいと物忘れ激しくなるくらいやろ。ああ、鼻から電極つっこんどるで、嗅覚もだめかもしれへんな」
「…………なんてことするんですか」
珈琲を飲もうとしたミュライダでしたが、まだ冷めておらず。マグカップを、使用済みの手術道具がいろいろと置かれている机の上へと戻します。
「しかしなぁ、こいつらの接続、父親と娘、身内の間同士でしか成立せんのや。他人の体つないでも、うまく稼働せぇへんかった」
「まさか……」
「ああ、安心せやで。親父の頭の方も、娘の体も生きとるがな。ほれ、そのでかい机の向こう見てみ、チューブの長さ足りんくて、そこに置くしかなかったんや」
ブレクナムは言われた場所を覗き、眉間を押さえます。そこにあったのは、口にチューブを突っ込まれた父親の頭に娘の体がついたもので――。
「それで、稼働しなかった体はどうしたんです」
「裏で焼かせとるわ。固有魔術ももっとらんやつやし、残しといてもしゃあないでな」
「部下を減らさないでください。海上ルートが確保できるまでは、そうそう数増やせないんですから」
「お、人をただの材料と見とる人間の発言やなそれ」
「あなたに合わせただけです」
ミュライダはあっそうと、机の上から血まみれのハサミをとり指先でくるくると回しはじめます。
「この親子眺めとるとな、ようく見えるやろ」
回しすぎたハサミは指から外れて壁にあたり、カシャンと落ちて。
「なにがです?」
「敵の姿や。多分おそらく、ほんまもんの魔導士になったこいつらの身内、要するにこの頭の妹で、体の娘は、他人の体でもつなぐことができる能力持ちやで。他人をちぎって、自分の体にするんや」
「……肉体依存の固有魔術は、奪われる可能性があるということですか」
「せや。だからその魔導士は、確実に殺しとかんといかん。確実にな。それに、そんなレアもの部下に抱えとる、ダンビラドグマとかいうやつも要注意や。まったく、優秀な魔導師やっとると、固有魔術が日常になるであかんなぁ」
「わかりました。で、本当に元に戻せるんでしょうね」
「あっつ。このマグカップぜんぜん冷めへんな。違うのにしてや今度から」
再び飲もうとした珈琲。でもまだまだ熱くて飲むことは出来ません。
「で、戻せるんでしょうね!」
強く、同じ事を聞き直し。
「あたりまえやがな、私はドクターフィクション。嘘を現実にする女と呼ばれた天才、ミュライダやで。この親子だって、そこそこまでなら元に戻せるわ。ちゃーんとここに連れてこられた記憶を全部別物に入れ替えてな。せっかくやから、楽しいピクニックの記憶にしたろかい。自分はいいから娘を、自分はいいからお父さんをと言える、どっちもどっちの親子やったでな」
「そうしてください……」
娘の頭を繋がれた父親の手の指が、ピクリと動きます。
「しかし悲しいものやなぁ。そう思わんかいや? ブレクナム」
「ここに悲しさ以外あるんですか?」
「こんだけゴボゴボ魔力流し込んでやっとんのに、まともな、魔法使いになってくれへん。せいぜい一つの条件をギリギリ成立させるだけの箱みたいなものや。こいつらは、必死に互いの頭と体を維持し合うこと以外なーんもできん。魔法使いづくりはほんま難しいことやで」
「魔法使いなんて増えなくていいんですよ」
「私らも魔法使いやけどなぁ」
ブレクナムは再び、この不幸な親子へと目をやり、しばらく眺めてからミュライダの瞳を睨みつけます。
「もう満足したでしょうミュライダ。さっさと二人をもとに戻してください」
「あいあいわかった。まぁ、その前にチューブ外して、喋らせて録画しとこうやん? これだけ魔力ぶちこんであれば、トークショー一分半はいけるで。どうせまた、自分はいいからこいつを助けてくれとかいい出すんやろけどなぁ」
「そんなことしなくていいでしょう」
「いずれ脅しに使えるかもしれへんやろ。古典的やけど、身内の動画はけっこう効くで? せや、元に戻す手術も撮影しよか! ああ、花名切博士のかっこでやったらめちゃくちゃウケるんちゃうか? 花名切の身内は、花名切がまだ生きとって、海の外で人のために頑張っとるって信じとるやろ? その花名切が罪もない人の首すげかえとったら、どんな気持ちになるんやろなぁ」
「なんでそんなことばっかり思いつくんです?」
ブレクナムの見せた、心の底からの嫌悪。ミュライダはそれに気がつきながらも、やっぱり…………特に気にする様子はありませんでした。
「なんでって、私ら邪教組合の魔導師やがな。だもんで悪いことしか考えられへんやろ」
「いえ、魔導士と魔導師はただの区別で、性質は人それぞれですよ」
魔導師と魔導士。全く同じ発音の言葉でありながら会話が成立しているのは、二人がその違いをよく理解していたからです。
「そんなん屁理屈やがな。魔導士協会に所属しとらん時点で、魔導四戒に従わん言っとるのと同じやで。それが悪でなくてなんになんねん」
「もう少し自重してください……私たちには目的もあるんですから」
「そないなこと言われても、悪い事がかっこええからしかたないやんけ。私はケンカ以外の悪いこと、ぜーんぶやりたいんよ。幸い私は、他人を自由に痛めつけられるだけの権利を――」
「ミュライダ!」
ブレクナムが怒りに任せて机を叩いた音に、繋がれた親子がビクッと反応します。
「おお怖い。机ベッコリいっとるがな。あかんて暴力は、ブレクナムは強いんやから。ほら、この二人元に戻して一眠りしたら、銀色のかっこええ武器作ってあげるから、ダンビラドグマの倒し方でも考えとき。ダンビラドグマは、絶対私らの障害になるからな」
「なにを根拠に」
「根拠はない。勘、や」
「そういう勘、鋭いタイプでしたっけ?」
「しゃあないやろ、そいつとはまだ会ったこともないし。それに、新しい情報が全然入らん。ああ、情報量調整されとるみたいでイライラするわ」
「はいはいそうですか。それで、今日はなんのあてつけなんですかミュライダ。色々理屈つけてますが、私がなにか気に入らないことをしたから、こんなことしてるんですよね!」
さっきの衝撃で倒れたマグカップ。こぼれた珈琲が床にポタン、ポタンと黒い水たまりを育てていきます。
「よく気がついたなぁブレクナム」
「で、今回はなにが気に入ら――」
「ブレクナムさぁ、おまえ、昨日パンクロックを聞いていたやろ」
「パンクロック以外聞くなってあなたに言われてましたからね、不本意ですが、ここでは部屋が同じですし仕方ないかと。で? それのなにがいけなかったんです? まさか大人しく言うこと聞いたのが気に入らないとか言うんじゃないでしょうね!」
ブレクナムは自分より背の高いミュライダの襟首を掴み、ぐっと引き寄せます。我慢に我慢を重ね、それでも殴らないでいるためには、そうするしかなかったのです。
「そないな理由ちゃうわ。パンクロック聞いてたからに決まっとるやんけ」
「はぁ!?」
「ブレクナムが聞いとったパンクロックは、愛を歌っとった。私の中ではな、パンクは反逆を歌うものでなければならんのや」
「愛を歌ってもパンクですよ。そうやって限定するほうがよほどパンクではないと――」
「せや、だからあかんのや。おまえみたいなこと言い出すやつがおるからな、誰かが、それはパンクではないと、パンクは愛を歌わへんものやと強引にでも否定せんと、あかんのや。つまりはな、限定というのは、少数の肯定なんやで」
「……自分ルールも大概にしてくださいよ。あなたがむちゃくちゃなのは今に始まったことではありませんが、それでも日本に入ってからのあなたは目に余る。なんで私がそこまであなたに制限されないといけないんですか!」
つばを飛ばして怒るブレクナムを見るミュライダの目は、まるで午後のコーヒータイムを楽しむかのように穏やかで。
「なんでって、あたりまえやろ。私のほうが、おまえより偉いんやか――ぐあっ」
とうとうブレクナムは、ミュライダを殴り飛ばしてしまったのです。
「痛い痛い。痛いなぁ。めっちゃ痛いわ」
両の鼻の穴からの血はミュライダの手術着へと落ち、飛沫のようについていた父娘たちの血液を上書きしていきます。
「ミュライダ……いい加減にしないと――」
「ブチギレ通り越しとるのに、よう手加減できたなぁ。これくらいの傷ならゆるしたるわな。感謝せぇよ、ブレクナム」
「準備できたら呼んでください! 次やらかしたら動けなくなるまで殴りますからね!」
ガンと強く扉を締め、ブレクナムは外へと出ていってしまいました。
「力のあるやつは強引で怖いなぁ。自分が強いことわかった上で怒りよるからな。なぁ、そう思わんかや」
そう言いながら、父親の体に繋がれた娘の頭を撫でるミュライダは、反対の手で倒れたマグカップに手を伸ばし、わずかに残っていた珈琲をすすったのです。
Dr.CoffeeBreak おわり
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