【対談】伊藤 魔鬼×板近 代 アニメづくりと小説づくりの作業場より
みなさまこんばんは、猫と鯰舎です。
本日は、弊舎の板近 代が、アニメ監督・イラストレータなどと幅広く活躍されている伊藤 魔鬼様とさせていただいた“対談”をお届けします!
それぞれの“作業場”から通話にて行なわれた、当対談。
作品づくりにおいて大切にしていることや作業環境などなど、いろいろな話が飛び出しました。
ぜひぜひどうぞご覧くださいませ!
※今回の対談には伊藤 魔鬼「ケンダマスター拳」、猫と鯰舎「そこに沈む魔女シリーズ」の若干のネタバレを含みます。
※この対談は2022年11月18日に行なわれたものです。作品に関する情報などが、最新の情報と異なる場合がありますことご了承下さい。
まずは自己紹介!
伊藤 魔鬼(以下、伊藤):では、しろちゃん。今日はよろしくお願いいたします。
板近 代(以下、板近):よろしくお願いいたします。今回は伊藤さんがまとめてくれたお題表があるので、それに沿って進めていく形ですね。
伊藤:はい。まずは自己紹介からですね。
板近:どっちからいきます?
伊藤:今回の対談はしろちゃんのサイト(猫と鯰舎ホームページ)での公開ですから、僕から行かせていただきます。
板近:ありがとうございます!
伊藤:「合同会社あにめ東京」というところで、演出と撮影と、その他もろもろをなんでもやってます伊藤 魔鬼(いとう まき)と申します。合同会社あにめ東京はアニメを作る小さな会社で、商業作品から、自主制作みたいな作品までいろいろやっていて。そこで一応、社長をやっています。
板近:私は伊藤さんを人づてに紹介してもらって、それから何度かお話させてもらいましたが、本当にいろいろなことをされている方だなぁと。
伊藤:いろいろやってますね(笑)。
板近:伊藤さんの絵本も読ませていただきましたが、とてもよかったです。
伊藤:ありがとうございます。

板近:あと、アニメに声をあてたりもされていますよね。
伊藤:してますね。あとは短編小説書いたりとか、イラストを描いたりとか。いろいろやりすぎて、人に経歴話すと嘘じゃないかと言われちゃう(笑)。


板近:(笑)
伊藤:そんな、アニメ関係のなんでも屋さん伊藤 魔鬼です。じゃあ次、しろちゃんの自己紹介を。
板近:はい! 猫と鯰舎の板近 代(いたちか しろ)と申します。猫と鯰舎では主に、ストーリーの考案や執筆を担当しています。
伊藤:しろちゃんは、猫と鯰舎以外でも執筆などされているんですよね。
板近:ええ。執筆や編集、ウェブサイトの企画などなどを個人で承っております。元は裏方だったのですが、ある頃から板近と名前を出したお仕事もさせていただくようになりました。名前を出しての活動は主にアクアリウム関連で、雑誌「月刊アクアライフ」さんで連載中の「熱帯魚なんだもん! 熱帯魚擬人化図鑑」の本文担当、アクアライフさんのブログ連載「アクアの雑談」に話者として参加などさせていただいております。
伊藤:しろちゃんも活動の幅がちょっと広めで。文字書き関係から、写真関連でも活動されていますよね。
板近:写真関連は主に収集ですが(笑)。
伊藤:収集(笑)。
板近:撮影も好きなのですがあれこれ集めるのが楽しくて。カメラや、撮影関連のアイテムって百円、数百円、千円みたいなお求めやすい値段から面白いものがわんさかあるので増えやすく……と、これはいきなり脱線しすぎですね(笑)。

伊藤:(笑)
板近:そんな感じで、私にとってカメラは個人的な趣味である面が強いですし、プロカメラマンでもないのですが、ブログや雑誌の記事で写真を使ってもらったり、熱帯魚のフォトコンテストの審査員をやらせていただくなど、カメラ好きとしてとても光栄なお仕事をさせていただくこともありました。
伊藤:フォコンテストの記事(アクアライフブログ掲載)もとても面白かったです。
板近:ありがとうございます。素晴らしい作品がたくさん見れるコンテストなので、今この対談を読んでくれている方もぜひご覧ください。
伊藤:ぜひ!
板近:伊藤さんともカメラの話をしますよね。写真を見せていただいたり、見ていただいたり、撮影方法について話をしたり。
伊藤:しろちゃんから聞いた、暗い中で被写体にスポットで光を当てて印象を強める方法は面白かったですね。黒つぶれを恐れず撮る姿勢も。

板近:ありがとうございます。伊藤さんの写真作品は構図が本当に美しくて感動しました。見ていてとても気持ちが良いんです。
伊藤:ありがとうございます。今日は、小説やアニメがメインの対談の予定ですから、写真の話はこのくらいでやめときますか(笑)。
板近:そうしましょう(笑)。



今どきではない小説公開方法
伊藤:では、ここからは、しろちゃんが小説を公開している「猫と鯰舎」について教えていただけますか。
板近:はい。猫と鯰舎は、私一人ではなく元々出版社で編集をされていて、今はフリーの編集者として活動されている「だっくるさん」と二人で立ち上げた創作ユニットになります。猫と鯰舎のデビュー作である「そこに沈む魔女シリーズ」は、私が主にストーリー原案と執筆、だっくるさんが編集とイラストという形で進めてきました。

伊藤:いい感じの二人三脚感が。
板近:そうですね。猫と鯰舎のサイト自体は今年(2022年)オープンですが、準備期間を含めると現時点で数年間だっくるさんと一緒に作品づくりをしていることになります。猫と鯰舎立ち上げは準備期間の終盤に決まって。設立の理由はいくつかありますが、大きな理由として「二人が中心となって作品を作っていく」という意識があります。

伊藤:自分たちでサイトを立ち上げて作品を発表するというスタイルは、けっこう珍しいですよね。
板近:自由度の高さや、拠点を持ちたかったという思いなどもあって「まずは、自分たちのサイトから始めよう」となったんです。
伊藤:今は小説サイトに投稿という形が多い中、なかなか2000年代初期を彷彿とさせるなと思って。
板近:だっくるさんとの間でも「今どきの感じではないですよね」みたいな話は出ましたね。
伊藤:でも、それが逆に良さなんじゃないかなとすごい思って。
板近:だっくるさんと二人であれこれ考えながら作っているので、そう言ってもらえて嬉しいです。たとえば、文字と文字の間の隙間の広さの調整をだっくるさんが提案してくれて、実際に調整したら文の読み心地が良くなったり。
伊藤:緻密な調整を経て今の形に。
板近:まだ、うまくできてないところもたくさんあるんです。小説投稿サイトと比べると読みやすさに欠けるとも思いますし……実は、小説投稿サイトの使用を検討していたりもするんですね。ただ、自分たちのサイトだからこそできた表現などもあるので、第一歩としてこのサイトを立ち上げたことは良かったなぁと感じています。
伊藤が板近に対談を提案した理由
伊藤:次のお題は、しろちゃん指定のお題ですね。
板近:はい。今回の対談は、伊藤さんが提案してくれたんですよね。いろいろ(プライベートで)お話させてもらった中で、私が「小説を知ってもらう機会を増やしたい」と相談した時に。伊藤さんが「対談がいいと思う」と提案してくれて。
伊藤:そうですね。
板近:それで「なぜ対談なのか?」ということをすごく聞きたかったんですけど、せっかくなのでその理由は、対談当日にお話していただこうという事になって。
伊藤:ええ。
板近:それでは、お願いいたします!
伊藤:はい(笑)。対談は、消去法で考えたんですね。僕にできる方法で、なにか広められる方法はないかと。
板近:そう考えてくれたことが嬉しいです。
伊藤:アニメーションを一本つくってしまったり、広告代理店に持ち込むような企画をつくり始めると、けっこう予算的にも作業量的にもハードになってきますし、仮にそれでたくさんの人に届いたとしても、猫と鯰舎の作品って一部なディープな層を狙っているところがあるじゃないですか。
板近:たしかに、猫と鯰舎の作品には「広い層を狙ってます」とは言いづらいどころがありますね。作品づくりの意識としても、今は、自分たちの色を優先しようと決めているところがありますし。
伊藤:うんうん。なので、ライト層100人に声をかけるのではなく、ディープな層に我々から1人ずつ声をかけるようななにかができないかなと思った時に、対談記事がいいんじゃないかなと思って。
板近:伊藤さんは私達の今の作品づくりのスタンスも感じとってくれた上で対談を提案してくれたのかなぁと、今のお話を聞いて思いました
伊藤:ディープなことも、対談なら我々二人が話すだけでできちゃうじゃないですか。それがいいのと、読む人も100人中1人が読むのであれば、こういう企画のほうが楽しいんじゃないかなって思うんですよね。
板近:なるほどですね。自覚もあるので、ありがたい企画かもしれません。「板近に広い層に楽しんでもらえる小説が書けるのか?」と問われたとしたら「できる!」と即答できないという自覚が。
伊藤:追々がんばっていけばいいんじゃないですか(笑)。
板近:(笑)
広いターゲットを狙って、丸くなる角
伊藤:僕の作品でもそうなんですけど、広いターゲット層を狙うとどんどん角が丸くなってちゃうんですよね。角が丸くなっちゃって自分でも「面白いのか?」と思うような作品になって、大衆にいいねとは言われるんですけど、個人に思いっきり褒められることはあんまりないものになってしまう。
板近:私は、ある時期から「調整を覚えよう」と意識していたところがあったんですね。たとえば、暴力的なシーンだとか、精神的に重圧のかかるシーンだとかをストレートに書いちゃうんじゃなくて、奥に下げたりするような調整を身につけようとして。
伊藤:調整をする意識を。
板近:はい。その調整がうまくできている時はいいんですけど、できていない時は、伊藤さんの言う通りエッジが効いていない感じになっちゃうんですよね。以前、だっくるさんに提出した原稿が返ってきた時に、「このシーンの表現はもっと力を入れて良いのでは」という旨の指摘が入っていたことがあって。
伊藤:どんなシーンだったんですか?
板近:「だから火を通して」という読み切り短編の、嘔吐のシーンです。このシーンは初稿で、私が意図的に表現を加減した部分で。まさに、伊藤さんの言う「広いターゲット層を狙って角が丸くなってしまった」というところだったんでしょうね。「嘔吐シーンを具体的に書きすぎると、読者さんが引いちゃうかな?」って、びびったというか。
伊藤:それをだっくるさんの指摘で直したと。
板近:はい。だっくるさんの指摘のおかげで私も「加減しなくていいのか!」と思えて、修正版を提出したらOKが出て。それが今公開している「だから火を通して」となります。
伊藤:しろちゃんには、猫と鯰舎以前の小説をちらっと読ませてもらいましたけど、今のほうがエッジが効いてる。より角立ったと思いますよ。
板近:ありがとうございます。だっくるさんのおかげですよね。私の自己判断だけでなく、編集者という目線で意見をもらえるとやりやすい。
伊藤:安心のだっくるさんチェック。
板近:安心ですねぇ。
伊藤:どっちかいうと僕も、しろちゃんのエッジはどんどん研いでいったほうがいいんじゃないかって思いますよ。
アニメ監督の書評
板近:以前、伊藤さんが猫と鯰舎の、小説「そこに沈む魔女シリーズ」の中から、読み切りの短編を三つ読んで書評を書いてくれたじゃないですか。
伊藤:書かせていただきましたね。
板近:その書評で、伊藤さんが「痛みの愉しみ方」という短編を「ビターチョコレート」という表現を使って評してくれたんです。
伊藤:ええ。
板近:伊藤さんには書評をいただいたときにも話しましたが、ビターチョコレートという言葉は、私がそこに沈む魔女シリーズを執筆する上で頭の中に置いていた、いくつかの重要なキーワードのうちの一つだったんですよね。なので、あまりにもドンピシャでびっくりして、作品の中にあるものをしっかり感じ取っていただけたんだなぁって、嬉しかったですね。
伊藤:僕は作品を読んだ時の後味みたいなのを感じることがあるんですけど、その作品を読んだ時の後味が「ビターチョコレートだな」って。
板近:なるほどですね。チョコレート関連であると、そこ魔女シリーズの長編である「アクアリウムライライラ」にも「チョコレートショコラ」ってタイトルの回があったりもするんですよ。
伊藤:まさに!

板近:まさにです! チョコレートショコラは、書評をいただいくより前に仕上がっていたんですが、その時点では、公開日がだいぶ先だったので言えなくて。つい最近公開になったので、やっと伝えることができました(笑)。
伊藤:(笑)。書評では、ビターチョコレート以外にはカレー屋というキーワードを使ったと思うんですけど、しろちゃんの小説は直球じゃなくて、好きな人は好きだろうなって味のする作品だと思うんです。ちなみに、僕はけっこう好きでした。
板近:ありがとうございます! 私は傾向として、なんだろ……枯れた鉢植えに水をあげ続けるような…………そんな話を書きがちなところがあるとは思います(笑)。
伊藤:(笑)
物語づくりの「狙い」と「衝動」
板近:伊藤さんも御存知の通り、そこに沈む魔女シリーズの中には長編と短編集があって。短編はどれも一話完結なんで、中には、表現としてのチャレンジを取り入れた話があったりもするんですね。たとえば、その話を読んでくれるかもしれない人……つまりは、仮想の読者さんを想像して、狙って書こうとしてみたり。
伊藤:狙って書くと逆に当たりませんよねあんまり。ああ、これは人によるのかな?
板近:どうなんでしょうね。私は元々、思いついちゃうと衝動的というか本能的にバーッと書いちゃうタイプなんで、時々、意識して狙いを取り入れたりもしますね。ほんと、すぐに衝動で書きたがるので(笑)。

伊藤:なるほど。しろちゃんは調整入れて書いてる印象あったけど、たしかに作品読んでると勢いがすごいですよね。
板近:一発目の書き出しが勢い任せな話が多いので、その影響があるかもしれません。
伊藤:作品を読んでると、リアルタイム感がすごいんですよね。その、リアルタイムなところで、ちょっと時系列がおかしくなっちゃうところに調整を入れたりとかをしているのかなって思いました。
板近:そうですね。バーっと書いてある程度形になったものを、後からいじって調整することが多いです。
伊藤:僕も一回形にすることを大事にしていて、プロットとか台本を一番最初に完成させちゃうんですね。三日くらいでバーッと書いちゃって。
板近:私は、形にすることを大切にできているかというと微妙で。あれこれ書いて、形になったものだけをだっくるさんに提出しているというか(笑)。
伊藤:(笑)
板近:そこに沈む魔女の原稿は長編も短編もストックがそこそこあるんですけど、だっくるさんに見せるところまでいかなかったボツ原稿もいっぱいありますね。あとは、何度も書き直しを繰り返してて、なかなか提出に至らないものとか。
伊藤:ぽんと産まれてくれる作品もあれば、難産の作品もいろいろあるわけですね。
板近:衝動で書いちゃう弱点なのかもですね。
伊藤:僕は後から作ったものを見直して「これとこれ同じ作品じゃない?」ってことがありますね。似たような作品なのに書いている時全然気づかなくて。
板近:あー。
伊藤:二、三年経ってから読み直して「あれ? これとこれと同じだ」みたいな(笑)。後から客観的になった時に気づく感じで。
板近:集中してると意外と気が付かないことってありますよね。
伊藤:僕は昔は自分の人生経験から削り出して書く派の作家だったんですよ。しろちゃんに見てもらった、(会社設立前の)完全に自主制作でやっていた頃の「ミサト・らぶすとーりー」とか、あれは完全に自分の中にあるものを書き出したものなんですね。

板近:ミサト・らぶすとーりーのラストは、驚きながらもすごく感じるものがあって。
伊藤:ありがとうございます。なんか、その後に作る作品に近いものがあったりして。
板近:作品をこえてつながるものってのもありますよね。
作品づくりで大切にしていること
伊藤:では次は、事前に用意していたお題から「作品づくりで大切にしていること」という話をいってみましょう。
板近:はい。さっきも話したように、私は小説を衝動的に書きがちな人間なので、猫と鯰舎の作品を書くにあたって決め事をいくつか作ったんですね。
伊藤:決め事ですか。
板近:かっこよく言うと、衝動頼りの執筆の先に行きたかった。自分の今までの書き方を見直して、それを元に、あると良いであろうルールを考えてみたんです。
伊藤:ルールかぁ。僕は最近なんですけど、商業作品に関わるようになって、逆に自由にできる自主制作の環境ではそんなに縛られる必要はないんじゃないかって思うようになりましたね。
板近:なるほどですね。
伊藤:なので、とりあえず理屈じゃ片付かない部分をどんどん突っ込んでいこうかなと。例えば、僕の作品の「ケンダマスター拳 しんげきじょうばん:笑」は最後なんで踊ってるかわからない。

板近:踊ってましたねぇ。
伊藤:踊りながら大真面目な会話してるんですけど、自分でもなんで踊ってるかわからなくて。
板近:でもあのシーンって、踊ってるのがすごいしっくりくるんですよね。
伊藤:実は最初あのシーンは、真面目に会話させて喧嘩させてたんですけど、作ってる最中になにか足りないなって思って。友達の作家さんと話している時に、その作家さんが「踊ったり分身したりすると楽しいよ」って言ってくれて。その作家さんはなんとなく言ったみたいなんですけど、作ってるシーンに見事にシンクロして、じゃあ踊らせるかと。
板近:めちゃくちゃシンクロしてました。言葉で説明するのがすごく難しいけど、すごいシンクロ。
伊藤:画面はもつし、感情は迷子になるし。すごい良い画面できたなって。
板近:また、あのシーンは本当に最後のほうじゃないですか。そこまでずーっと見てきたからこそ感じられるシンクロだと思うんですよね。
伊藤:気になる方は「ケンダマスター拳 しんげきじょうばん:笑」で、アマゾンプライムビデオで検索していただきますと、ありますので。
板近:「ケンダマスター拳 しんげきじょうばん:笑」は私からも推させていただきたいですね。見終わるとまたケンちゃんに……勝手にケンちゃんって呼んでしまって申し訳ないですが、見終わってしばらくすると、またケンちゃんに会いたくなるんです。

他作品をシャットダウンすることの効果
伊藤:しろちゃんが作品づくりで大切にしていることを、もう少し細かく聞かせてもらえますか。
板近:はい。底に沈む魔女シリーズ、特に「アクアリウムライライラ」では、シャットダウンを大切にしました。たとえば「アクアリウムライライラ」には熱帯魚が出てくるんですが、私は、熱帯魚を自分の言葉で表現したかったんですね。それで、幸いなことに私はアクアリウムをテーマにした小説を読んだことがなくて。だから、絶対に読まないぞと。
伊藤:アクアリウム小説をシャットダウン。
板近:ええ。一作でも読んでしまうと「読んだことのない自分」には戻れないじゃないですか。だから、アクアリウム小説を読んでいない状態で自分の表現を突き詰めることは今しかできないなと思って、その時間を大切にすることにしました。
伊藤:うんうん。ある程度自分の作風が固まってからだと、他のものでも揺るがないんですけどね。
板近:まさに私も作風を突き詰めたくて。また、シャットダウンには副産物もあって。アクアリウム小説以外にもいろいろとシャットダウンしてたんですけど、その結果インプットの量が減って、一個一個の記憶に時間をかけることができたんです。この期間に、今まで生きてきた中で見てきたものや経験したことなども、ゆっくり溶かしていけた気がします。
伊藤:ああ。
板近:その結果、その後のインプットに対してより素直になれたりもして。時間かかったけど、今回のシャットダウン作戦は上手にできたのかなみたいに思ってます(笑)。
伊藤:(笑)。シャットダウンの話に通づるんですけど、最近全くと言っていいほどアニメを見ないんですよ。この話をするとよく「意外」って言われるんですけど。
板近:そうなんですね。
伊藤:アニメをつくり出してからアニメを見る時間がなくなってしまって(笑)。
板近:忙しそうですもんね。
伊藤:あと、他の作品を見ると、感想を言う前に、タイムシートとか絵コンテっていうんですけど……アニメの設計図みたいなものが見えるようになってしまって。完全に職業病ですけど、ぼーっと楽しむ時間にそれを見たくないなって。なんかそれで、シャットダウンではないんですが、全然アニメを見れなくなってしまいましたね。

板近:私はそのあたり単純にできているというか、自分以外の作品を見ても設計図的なところが思い浮かびにくい脳みそであると思うんですね。夢中になってたら最終話来ちゃったみたいな(笑)。なのでむしろ、そうした客観視は課題で。
伊藤:なるほど。
板近:ただ、最近少しずつ客観視をできるようになってきた感もあって。夢中になるだけでなく、構成のすごさなどに驚いたりすることも出てきました。
伊藤:客観視はできるようになると強いですよね。
板近:ですねぇ。私は客観視がすごく苦手だったし、それによるマイナスも感じていたので本当に良かったなぁと思います。まだまだですが、少しずつ私も成長していますよということで(笑)。
伊藤:(笑)
キャラクターは自分の知らないことを知っている
板近:作品づくりで大切にしていることというと、そこに沈む魔女シリーズを執筆する中で「キャラクターは自分の知らないことを知っている」ということを、より大切にするように変わっていった気がします。
伊藤:ああ。
板近:たとえば、そこに沈む魔女シリーズには魔法が出てきますけど、残念ながら私は魔法を使ったことがないので。魔法を自分の経験した別の物事に置き換えて考えることはできても、完全にイコールではないと思うので。なので「この世界はどういう世界なのか」とか、そういうことを掘り下げるようにもなりました。
伊藤:うんうん。
板近:私はキャラクターと気持ちがリンクしやすいところがあるんですけど、リンクしたからと言っても、場面場面の感情とリンクをしているだけで「キャラクター=自分」ではない。だから、自分のキャラクターを取材……みたいなことをしたりもします。たとえば漫画を読んでいるキャラクターがいたら、どんな漫画を読んでいるのかとか。

伊藤:自分の中でロケハンをして作ってるみたいな。
板近:ええ。自分の作った世界を調べてるみたいな。
伊藤:そういうのって、作品が進むに連れてどんどん増えていって楽しいですよね。
板近:ですね。そうした設定をまとめた設定集みたいなもの(魔導辞典)をサイトで公開しているんですけど、こちらも、つくるの楽しかったです。

伊藤:僕は設定聞かれると「どうなんだろうな?」って自分で考えちゃうようなことがいっぱいあって。
板近:「どうなんだろうな?」ですか。
伊藤:お客さんがまとめて「こういう設定だからこうなってる」という記事にしてくれたことがあって。たとえば、ケンダマスター拳の三十分バージョンがあるんですけど「世界の中心で、LOVEをさけぶ」というサブタイトルで、最後にアイスクリーム学園が出てくるんです。それについてお客さんが「愛SCREAM」だから「愛を叫ぶ」だったんだって書いてくれて。そうだったのかと自分で納得したことがあったんです。
板近:なるほどです。
伊藤:なんか、けっこう自由気ままに書いていると、お客さんが僕よりも僕の作品をディープに、設定を見つけてくれるんだなって気づいてからはけっこう設定を詰めずに書くようになりましたね。
板近:お客さんがきっかけなのですね。実は、私が設定をつくり出した理由は、ちょっと弱気なところもあって。
伊藤:お? というと。
板近:世界の詳細が決まっていれば、話に迷った時の執筆やアイデア出しのレールになってくれると思ったんですね。「青信号は渡って良いけど赤はダメ」というルールを知っているから、赤信号を渡ることは違反であるということを書ける……みたいな。
伊藤:自分用の逆引き辞典の側面もあるんですね。
板近:そうですそうです。迷子になるのが怖かったから設定を固めはじめたんです。それと、創作していると「キャラクターが勝手に動く」って話があるじゃないですか。
伊藤:ありますね。
板近:それで、キャラクターが生きつつ物語としてしっかりした作品をつくる力って、どうやって身につけたらいいんだろうなぁと思ったんです。今までに何度も、キャラクターが動いた結果話をまとめることができなくなってしまった……という経験があるので。それで、設定をしっかり作っておけばなにかヒントが見えるんじゃないかなって思ったところもあります。
伊藤:なるほどなるほど。僕は自分の作品で、ひとつわからないことがあるんですよね。けん玉ってなんだろうって。ケンダマスター拳の話なんですけど。
板近:はい。
伊藤:最初に決めたのは、けん玉っていう謎の物体を巡る物語ってことで。決めたら、完成しても未だに謎の物体のまま、なんなのか解明されていないんですよ。
板近:ケンダマスター拳見てると、自分の中のけん玉が、元々自分が知ってたはずのけん玉とは変わってきますよね。
伊藤:多分観客は見終わる頃に、「けん玉ってなんだっけ?」って思ってると思うんですけど。

板近:すごい神聖なものにも見えてくるし、重圧なものにも見えてくるし。映像の中には、よく知ってる形のけん玉が出てくるんですけど、見えているものとはまた違ったなにかを感じるというか……それこそ、アンクのような雰囲気すら感じるというか。
伊藤:そうですね。最終的には御神体みたいになって出てくるんですけど、神なのかと言うと「神以上の存在」とキャラクターは言っているんで。
板近:自分で書いてる作品でも、わからないところって出てきますよね。私もいくつもあって、一生懸命考えることがあります。
伊藤:こういうときって、ちゃんとキャラクターがわかってるんですよね。ちゃんとわかっていて我々に説明してくれるから不思議です。
板近:ありますねぇ。でも教えてくれないときもあるんですよね。ガチでなに考えてるかわからない、キャラクターの深いところに届かない。たとえば、そこに沈む魔女シリーズの作中には、彩内リオってミュージシャンが出てくるんですけど。
伊藤:ええ。
板近:その彩内リオの歌詞を、複数書こうとしたんですね。作中に歌詞が出てくるんですけど、それ以外、つまりは作中に出て来ない歌詞も書けば、彩内リオのディテールがもっとはっきりするんじゃないかって。でも、なかなか書き進めることができなくて。つまりは、彩内リオが作詞している時の精神状態になることができず、かといって別のアプローチで書くこともできずという……。
伊藤:おお……。
板近:そんな時にちょうどいい……ちょうどいいっていうのもなんですけど、心身ともにめちゃくちゃ調子の悪い時が来て。
伊藤:一時期ボロボロでしたよね。
板近:ご心配おかけしました。それで、その時に「彩内リオの歌詞を書くなら今じゃないか!」って思ったんです。
伊藤:ええ、逆に?
板近:はい。思った通り、バチッと来てくれて! 私は、小説の中で暗い描写やつらい描写を書くときって、すごく嫌な気持ちになるんですね。でも同時に、そういう表現をちゃんと書き上げることができたという書き手としての喜びがあったりするんですけど、彩内リオの歌詞を書く時はもうただただ気分が落ち込んで、書けたぞっていう喜びもなく、ただ気分が悪い。そういう歌詞を書くことができたんですね。これは全部の曲ではなく一部の曲の話なんですけど、歌詞が複数ある中に、そういう歌詞が混ざったおかげで彩内リオが完成したというか。
伊藤:はあ、しろちゃんとキャラクターのシンクロ率が高い!
板近:でも、そのあとしばらく彩内リオの歌詞しか出てこない頭になっちゃって。元から調子悪い上に、バテてきちゃったから形にもならなくなってきちゃってどうしようみたいな(笑)。
伊藤:(笑)。ちょっと飲み込まれてますね。
板近:もってかれちゃったんでしょうね。それで、なんとか……帰ってきたわけですけども。
伊藤:おかえりなさい。
板近:ありがとうございます(笑)。でも、帰ってきたらやっぱり、彩内リオの歌詞が書きづらくなっちゃって「ちくしょうめ!」みたいな(笑)。あ、彩内リオの歌詞はこのサイトの「性善悪説」というページで見てもらえるので、よかったらお願いします。歌詞ということもあり、小説を未読の方でも読んでもらえると思いますので……と、宣伝です(笑)。
伊藤:(笑)。でも、自分の状態が悪くないと書けないものってありますよね。
板近:そうですね。できれば、そういう状態にならなくても書けるようになりたいんですけどね。
伊藤:心の鍛錬が必要ですね(笑)。
板近:(笑)
お互いの作品の雰囲気に対する感想
伊藤:今日の対談用に事前に用意していたお題の一つに「お互いの作品の雰囲気に対する感想」というのがありますけど……これ、もうけっこう話してますよね(笑)。
板近:話してますね(笑)。でも私、伊藤さんの作品についてまだまだ話したいことありますよ。
伊藤:あ、なんですか!
板近:「ケンダマスター拳 しんげきじょうばん:笑」ですね。この作品は、見る前にすっごく身構えていたんですよね。
伊藤:そうなんですか。
板近:アニメの監督から、作った作品を直接見せてもらうとか緊張しますって(笑)。
伊藤:いやいやいや(笑)。
板近:しかもその時点で対談も決まっていたし「身構えてしまうに決まってるでしょ!」みたいな(笑)。でも、見始めたらいきなりレッドコーンマンが出てくるんですよね。

伊藤:あ、しろちゃんに見てもらったのは劇場公開用の映像だから。アマゾンプライムだとそこはカットされているんですよね。
板近:そうなんですか! しかし……レッドコーンマンにはびっくりしましたよ。ケンダマスター拳でもないし、けん玉じゃないし。
伊藤:はい。
板近:アニメじゃなくて実写だし。
伊藤:はい(笑)。
板近:「んん?」ってなって。その時点で頭が空っぽになっちゃって、身構えていたところとかが全部なくなっちゃって。その後の「正しい鑑賞方法」から「ケンダマスター拳」の流れにスーッと入っていけたんですね。

伊藤:なるほど。
板近:ケンダマスター拳そのものについても色々お話したいことがあるんですけど、一番好きなシーンはメロンとスイカですね。けん玉バトルの観客席でメロンとスイカにストロー挿して飲んでる。

伊藤:見た直後にも言ってましたね(笑)。
板近:はい(笑)。このシーンが、当たり前のように出てくるから「スイカは飲めてもメロンは無理でしょ」って思ったんですけど。
伊藤:たしかに(笑)。
板近:でも、落ち着いて考えるとスイカも飲めないですよね。
伊藤:(笑)。多分けん玉バトルの会場で売ってるんでしょうね。
板近:スイカとメロンが。
伊藤:スイカとメロンが。ちなみにですが、あのけん玉バトルの会場、八王子から電車で五分って設定があるんですけど。
板近:作中でも言ってましたね。

伊藤:八王子から電車で五分のところに片倉ってところがあって、そにある会議室が、当時撮影に使ったりとかいろいろでたまり場だったんですよね。人気も全然なくて、いい感じに田舎なのでここを舞台にしたら面白いって思って、八王子から電車で五分の「けん玉怨念フィールド」がうまれましたね。
板近:おお、それは作品を楽しませてもらった身としては聞けて嬉しい裏話ですね。
伊藤:なにげに初めて言ったかもしれないですね。舞台が新宿から八王子あたりなんですけど、立川じゃなくてまさかの神奈川方面行ってところがポイントです。
板近:そういうポイントっていいですよね。ちょっと話が変わっちゃいますが、舞台といえば、伊藤さんと私が同時に名古屋を描こうとしていたのが面白かったですよね。伊藤さんの新作アニメ「スペースマンX~すごい宇宙大冒険~」の舞台がスペース名古屋で、私が短編小説(謝罪のマナー:嫌な上司を怒らせてしまった場合)で名古屋県と。
伊藤:面白かったですね。たまにそういうシンクロありますよね我々。
板近:でも、同じネタなのに出てくるものがぜんぜん違うのが面白いですよね。
伊藤:この人には世界がこういうふうに見えてるんだって(笑)。
板近:(笑)。ケンダマスター拳の話に戻るんですけど、伊藤さんは王道展開というか、王道使いがすごく上手い人だなって思って。けん玉バトルも、かなり王道な雰囲気で始まるなぁと。
伊藤:ケンダマスターは王道ホビーアニメを作ろうと、当初思っていたので。
板近:その王道な流れからのスイカとメロンだから、びっくりするんですよね。王道ならではの入りやすさというか、王道のリズムに乗っていきなり来るからノーガードでくらってしまう。
伊藤:(笑)
板近:だからギャグがすごく効くし、精神的な部分だったりキャラクターの思いも突き刺さってくる。ケンダマスター拳は急にシュールになったり重い雰囲気になったりしますけど、どれもすごく入ってくる。
伊藤:2000年代のホビーアニメをだいぶ参考にしているんですけど、元ネタがいろんなパターンをやっているので、外れたことをやっても変に脱線していかずにすんなりまとまってくれるんですよね。ホビーアニメってよく完成されたフォーマットだなって、ケンダマスターの時に思いましたね。
板近:なるほどですね。ケンダマスター拳は濃いけど見やすいというか、ちゃんと連れてってくれる。それで見終わった後に、またケンちゃんに会いたくなる。
伊藤:ケンちゃん怖いんですけどね。個人的には。

キャラクターの苦痛
板近:伊藤さんから見たケンダマスターのキャラクターの話をもう少し聞かせてもらってもいいですか。
伊藤:僕がケンダマスターをつくり終わってから一番好きになったのは、ミツルギですね。
板近:ミツルギくんもいいですね。というか、ケンダマスターはいいキャラいっぱい。

伊藤:運命を仕組まれた二枚目キャラってあんまり好きじゃないんですけど、書いていると「あ、こいつ好き」ってなっちゃいましたね。僕ミツルギくんをいじめるときが一番楽しいんですよ。こういうところが、僕としろちゃんの最大の違いだと思うんですけど。
板近:なるほどです。
伊藤:自分のキャラクターをいじめるときは、悪役のつもりでいじめるんですね。その時いじめられている本人の気持ちではなく。
板近:ミツルギくん、けっこうつらいことになってましたよね。
伊藤:はい。ちょっと俯瞰したところからキャラクターを見て書いているところが違いかなって。
板近:私はどうだろう。こう言うと、自分で自分のことをいい人だと言ってるように聞こえてしまうかもしれないですけど、キャラクターがつらい思いをするのってやっぱり嫌で……本当に嫌ですね。すごい悲しいし、作者として申し訳ない気持ちにもなるし。でも、自分がそういう作品を好んで書いているには事実なんですよね。だから「暗い話好きでしょ?」とか「つらいシーン好きでしょ?」って聞かれたら、好きですと答えざるを得ないところがあります(笑)。
伊藤:(笑)
板近:私がつらくなるのは、小説の書き方も大きく影響しているのかな? 気持ちがリンクして顎に力入っちゃって奥歯がめっちゃ痛くなったり(笑)。もちろん全部が全部リンクするわけではないのですが……でも、リンクしてない時は客観的な気分悪さがあるし……まあ、どちらも自分のせいというか、つらい展開が来ることを避けられない物語を考案しているからなので、なんとも言えないというか…………。
伊藤:ふふふ(笑)。
板近:つらいつながりの話だと、悲しいシーンの挿絵の確認作業ってめっちゃテンション下がるんですよね。だっくるさんは、明るい表情もいい感じに描いてくれるんですけど、影のかかる表情もいい感じに描いてくれるので、見た瞬間「ああ……」って。まあ、悲しいシーンの挿絵なんで、それでいいんですけど。

伊藤:そうですね(笑)。
板近:そんな悲しい挿絵を見ると「悲しい話を書いたんだな……」みたいに改めて自覚したりします。
伊藤:しろちゃんの作品は、正直読んでて沈むことは多いです。
板近:伊藤さんにそう思ってもらえたことは、苦痛や悲しみをちゃんと表現できたからこそだと思うので素直に嬉しいですね。
伊藤:読んでてちゃんと連れて行かれる文章になってますね。
板近:よかったです。
伊藤:なので、ほんとに元気な時じゃないと読めない作品もあるんですけど。
板近:あ! 猫と鯰舎は暗い話ばっかりではないですよ! 前向きなところも、ちゃんと、ちゃんとあるので! と……唐突ですが、読者さんに向けたアピールを挟ませていただきました(笑)。

伊藤:暗くない話、ちゃんとありますね(笑)。恐れていたら「カワウソよ走れ」みたいな可愛い話もあったりとか。ほんとにどっから弾が飛んでくるかわからない作家さんだっていう。
板近:伊藤さんが言ってくれた「元気な時じゃないと読めない」表現は、より書けるようになってきたと思うんですよね。これは、だっくるさんの影響が大きくて。だっくるさんが原稿チェックの時に、修正点だけでなく良かった部分や感想なども書いてくれるんですが、そこからいろいろ気づくこともあって、表現をよりシャープにしていくことができていると思うんです。
伊藤:俯瞰の目線があるとないとでは、作品づくり変わってきますからね。
板近:はい。私は不安がりというか、「これはダメなんじゃないか」とか「これは独りよがりなんじゃないか」とか…………囚われちゃって、すぐにぐちゃぐちゃしちゃうところがあるんですけど……。
伊藤:その気持ちはわかります。
板近:ぐちゃぐちゃな時って、まともな判断しようと思ってもできないんですよね。でも、そういう時に「これは、だっくるさんがOK出してくれた作品だよ!」って自分に言い聞かせることができる。自分を自分で肯定できなくても、「だっくるさんがOK出してくれたものを否定するのか?」と己に問うことはできる。
伊藤:だっくるさんの安心感が半端ない。
板近:そうなんですよねぇ。
伊藤:末永くだっくるさんとしろちゃんのコンビが作品を発表していってくれることを願いますよ。
板近:ありがとうございます。これ、だっくるさん困らないかな…………前も猫と鯰舎の小説について対談させてもらったことがあったんですけど、その記事を見て「私のこと褒め過ぎでは?」みたいな意見がでたことがあって。たしかに、自分たちの運営するサイトにがっつり自分を褒めた記事が載るってのは、気持ち的に複雑なところはありますよね。でもまあ、事実しか言ってないので……だっくるさんごめんなさい(笑)。
伊藤:(笑)
制作環境について
伊藤:だいぶディープなところまで話が行ったところで、ライトなところに戻していこうと思うんですけど。お互いの制作環境についてざっくり、クリエイターとして。
板近:作品をどういうところで作っているかということですね。
伊藤:ええ。どういうお部屋で作っているかみたいな。
板近:部屋は……自分の部屋(笑)。
伊藤:(笑)
板近:物書きらしい……かどうかはわかんないですけど、机の近くに小さな資料用本棚がありますね。メインの本棚が廊下なんで、一時的に置いておけるところとして。
伊藤:執筆はなにで?
板近:パソコンで、原稿はWordか掲載するサイト、つまりは猫と鯰舎のサイトの中で直接書いたり調整してます。
伊藤:パソコンのスペックなどは。
板近:実は私ハードに強くなくて。パソコンに詳しい人にやりたいことや仕事の内容を伝えて、一緒に選んでもらったものなんですよね。もちろん、ある程度はわかってるんですけど、今ここでパッと答えようとするとちょっと自信ないです(笑)。
伊藤:(笑)。画面は今何枚ですか?
板近:画面は二枚ですね。前は三画面でやってたんですけど机の配置の都合で二枚になって。やっぱり、一枚と二枚ではだいぶ作業効率が違うので、がっつり恩恵を受けてはいるんですが……最初画面を増やした時は画面がいっぱいある方がかっこいいからって理由もあったと思います(笑)。
伊藤:(笑)
板近:あとは、同じ系統の話でいうとパソコンは光ってるほうがいい。
伊藤:それ! それは僕としろちゃんの最大の共通点ですよね。パソコン光ってないと嫌なんですよね。
板近:光ってないと嫌ですね。今のパソコンは売ってる状態では光ってなかったんで、お願いしてLEDをつけてもらいました。色が変わるやつですね。
伊藤:色が変わるやついいですよね。うにゅんって変わってきますよね。
板近:ですね。うぁん……うぁん……うぁん……って。
伊藤:そんな感じ(笑)。
板近:これ、ただ光ってるのが嬉しいだけじゃなくて、電源切ったのがわかりやすいからいいんですよね。出かける時に「電気消したかな? ガス止めたかな?」みたいに心配になって戻ってきた時に「パソコン消したかな?」という確認がしやすい。元々小さいランプはついてますけど、大きな光でわかる安心感。
伊藤:ああ……僕、パソコン本体だけじゃなくてキーボードとマウスも光ってるんですね。部屋真っ暗にして作業することが多いんですけど、その時にキーの位置が見つかったり、マウスがどこにあるかが一瞬でわかるのがすごい助かりますね。
板近:なるほどですね。私のマウスは光ってないのですが、手首が傷みにくいように展示のサンプルを触りに行って厳選しました。ヨドバシカメラで980円だったかな? 手に合うマウスが安くて助かりました(笑)。ただ、キーボードは贅沢をしてますね。
伊藤:ほう。
板近:私、タイピングが目茶苦茶荒いんですけど、確認したら左右合わせて四本くらいしか指使ってなくて。それでバタバタ打っていくからか、キーが分厚いと手首痛くなっちゃうんですね。なので、キーが薄いやつを使ってたんですけどそれが壊れちゃって。その時、家にあった予備がキーが分厚いやつで、とりあえずそれを使ってたんですけど……やっぱりすぐに手首が痛くなっちゃって。
伊藤:あら。
板近:それを知った、とある、とても優しい人がThinkPadのキーボード(KU-1255)をプレゼントしてくれて。これが非常に良くて、手首は痛くならないし、打つスピードあがったし。そんな感じで、私が作業環境で重視していることは、画面が複数あること、パソコンが光ってること、ThinkPadのキーボードであることですね。あ、あとちょっといい目薬!
伊藤:(笑)
板近:いや、ちょっとじゃなくて、だいぶいい目薬ですね。1,500円したんで(笑)。これも、「目薬はいいやつ使うと違うよ」って人から教えてもらったことなんですけど。正直、そんな高い目薬買うのは厳しいぞって思うところもあったんですけど、使ったらかなり良くて。
伊藤:僕はそんなにいいキーボードではないんですけど、最近マイナスドライバーでCapsLockとInsertキーをバチッバチッと飛ばしたら、すごくヒューマンエラーミスが減りましたね。これライフハックとしてどこかで発表したかったんですけど、今ここで初めて発表します。
板近:あーCapsLock押しちゃう時ありますね。
伊藤:CapsLockがないだけで本当にミスが減る。使う人もいるんでしょうけど、僕はいいかなって。Insertも文字打ってる時にバグおこしやすくて。Delete押す時に。
板近:私はDeleteあんまり押さないんでInsertではないのですが、押したいキーの隣のキーを押しちゃうミスをすることはありますね。なんだろ、ああPgDnだ。
伊藤:あと、テンキーにショートカットを登録したやつをキーボードの左側においてありますね。「保存ボタン」とか「別名保存ボタン」とかシール貼ってます。なので、テンキーだけどこれはテンキーじゃないという謎のツールが。左手デバイスってやつですね。
板近:便利そうですね。
作業場に欠かせない、勇気をくれる存在
伊藤:他には、しろちゃん作業環境関連なにかありますか。
板近:これは精神的な面ですが、グッズなど、好きなサッカー選手やチームに関連したものが目に入りやすいところに飾ってあるんです。椅子の真横には、イベントで大好きな選手が直接サインしてくれたユニフォームもあって。
伊藤:すごい!
板近:宝物です。見ると勇気がもらえるんです。選手の走り続ける姿、諦めない姿などを思い出して。なので、私の部屋には絶対に欠かせない存在なんです。
伊藤:僕一時期、彼女と撮った写真がずっと置いてあって、それで元気だしてこれからも仕事がんばろうってやってたんですけど。それがある日突然、元気の源から元気を奪っていく元に変わってしまったタイミングがあって。まあ、いつとは言わないんですけど、別れた時なんですけど。
板近:あー……。
伊藤:うん……。それは最近しまいましたね。
板近:なるほどです。
伊藤:あ、あと最近作業の時に飲む飲み物を珈琲から緑茶に変えましたね。同じカフェインなんですけど「あれ意外に緑茶もいいぞ」と思う時があって。
板近:緑茶けっこうカフェイン入ってるって話聞きますね。
伊藤:はい。それで回転寿司に置いてあるような、クルッと回して塩コショウみたいにコップに振って出す粉末緑茶をよく飲んでますね。
板近:あれ美味しいですよね。私はわりと珈琲が多いかな。
伊藤:インスタントですか?
板近:インスタントだったりそうじゃなかったり、その時々で違いますね。
伊藤:僕もちょっと前までブラックコーヒー派でしたね。
板近:私もブラックですね。あとついつい飲んじゃうのはエナジードリンク。
伊藤:あーエナドリはやばいですね。
板近:モンスターのピンクいやつおいしい。
伊藤:おいしいです。あと僕、ホームセンターで売ってるやっすいエナジードリンクよく飲みますね。
板近:私も飲みますねー。あと、1リットル入りとかで安く売ってる珈琲。
伊藤:外出て仕事する時はコンビニで買っちゃうんですけど、家で仕事する時は安いやつを飲んでますね。
板近:私はエナジードリンクあると飲んじゃうから、できるだけストックしないようにしてますね。美味しいから。
伊藤:お砂糖もいっぱい入ってますもんね。
板近:ええ。同じくあるとどんどん飲んじゃうから珈琲もあんまりストックしてなくて、なんだかんだ一番飲むのは麦茶です。あ、モンスターはゼロシュガーも美味しいですよね!
伊藤:うまいです!
板近:なんか飲み物対談みたいになってきましたね(笑)。
伊藤:(笑)
高速道路で書いた高速道路の物語
板近:さっき、伊藤さんは外で作業すると言ってましたけど、私も外で執筆することがありますね。
伊藤:あ、そうなんですか。
板近:その場合はスマホのメモで。歩いてて思いついたりすると、道の端っこに寄ってこちょこちょ書いたりとか。
伊藤:なんか意外。小さいノートパソコン持ってるイメージだったけど。
板近:外は基本的にスマホですね。思いついたことをその場でメモするから、もうメモ帳アプリの中がぐちゃぐちゃで。
伊藤:僕もiPhoneのメモ帳ぐちゃぐちゃです(笑)。
板近:外で書いた作品と言うと、書評書いてもらった後に伊藤さんに読んでもらった「ダンビラちゃんはサッカー帰り」って短編あったじゃないですか。あれ、高速道路走ってる時に書いたやつですね。あ、私運転はしてないですよ(笑)。助手席で。
伊藤:じゃああのリアルタイム感は、まじでリアルタイムだったんですね。
板近:そうですね。最終的な仕上げや調整は家でやってますけど、話の大部分は高速道路上で作りました。安全運転してもらってる隣で、後ろから車が追いかけてくる想像だったり、対向車線に車を逃がす方法だったりを想像しながら(笑)。
伊藤:インプットとアウトプットを同時に行っている。
板近:はい。ほんとに、高速道路で書いた高速道路のお話です。高速道路だけでなく、サッカー観戦の後ってのもそのままですね。
伊藤:おお、かなりのリアルタイム。

アニメづくりは機材がいっぱい?
板近:伊藤さんの作業環境お聞きしていいですか。アニメをつくる環境だからこその機材など。
伊藤:アニメというより音の関係が多いですね。一応、ネット声優みたいなことをやったり、自分で仮音入れてタイミングはかったりするので、音周りはVtuberみたいな装備をいろいろつけてますね。
板近:なるほどです。まだまだ他にも、いろいろありそうですね。
伊藤:そうですね、手元にうってある液晶がまず液晶ペンタブレットになってて、その上の目の高さの液晶二台が作業用と資料用で、その上に一台うってるんですけどそれが最近はZoomとかの会議用になってますね。他には、オーディオインターフェイスとマイクなど。
板近:それ、一覧で見たい人もいそうですが……企業秘密ですかね。
伊藤:明かしてもいいんですが、写真を載せないといけなくなるから部屋が汚いのがバレてしまう(笑)。
板近:私も散らかってる時ひどいですね。執筆が立て込むと部屋が散らかって、気持ちに余裕ができたら片付けてまた散らかるのループ(笑)。
伊藤:(笑)。あ、あとこれ言っとかないといけないですね、ハードディスクが今……えっと何テラだ? 30テラくらいつなげてます。
板近:あーやっぱ動画は重いんですね。
伊藤:エグいです(笑)。僕の作業環境でコンピュータまわりで言うとこんな感じですね。あと仮眠する用のマット兼座布団があってその座布団で座りながら作業して、電池が切れるとそこで横になってというのを繰り返していますね。
板近:ちょっと今の話に近い話かもですが、私は椅子は大事かなと思いますね。
伊藤:あー。
板近:元々、食卓で使うような椅子を使ってたんですね。足が固定されてるやつ。ただどうも、私は小説を書く時に椅子の上でけっこう動いてるみたいで。でも椅子が動かないんで、腰に負担かかっちゃったみたいなんです。それで、ちょっと怪しい感じになってきたので、急遽ホームセンターに行きまして。
伊藤:いったいどんなやつを。
板近:座面の広い、ゲーミングチェア的なやつを。私が座面に足をあげてることも多いので。これを買ってからすごく調子が良くなりましたね。肘掛けもいい感じだし、椅子の上での動きを全部受け入れてくれる。
伊藤:おお。
板近:あと、この椅子を買ったホームセンターがとても重要で。大好きなサッカーチームの「ザスパクサツ群馬」のユニフォームには「CAINZ」って入ってるんですね。そのCAINZさんで買った椅子だから、楽なだけでなくモチベーションに繋がる。そんなスペシャルな椅子になってるんです。
伊藤:やっぱり制作環境にはモチベーション連れてきてくれるなにかが必要ですね。
板近:ですねぇ。机の周りには、そういう物がいろいろ置いてあります。まあ、部屋自体が、物が多い部屋なんですけど(笑)。
伊藤:あ、あとこれは拒否反応起こす人もいるかもですけど、灰皿が置いてありますね僕は。でっかい灰皿。
板近:私はけっこう前に禁煙に成功したので(笑)。
伊藤:羨ましい! 羨ましい!
板近:超大変でしたけど、禁煙してなかったらいい目薬買えなかったと思う(笑)。
伊藤:(笑)。灰皿の近くに換気用の扇風機があって、部屋の空調ぐるぐるしながら作業してるんですけど、そうすると扇風機の風で灰が飛んできてキーボード周りがぼろぼろになっていくという。
板近:(笑)
伊藤:だから毎日液晶を台拭きで拭いて、それで作業はじめてます。
板近:それ風調整してもどうにもならないんですか(笑)。
伊藤:なんか飛んできちゃうんですよねどうしても(笑)。
板近:(笑)
本日のまとめ
伊藤:さて、今日のまとめに入っていきますが、今日はいろいろな話をしましたが、我々は作品をつくって発表していく人間なので、この対談を読んでくれたみなさんにもぜひ作品のほうを見ていただきたいなと思って。
板近:ええ。好みに合う合わないはあると思うんですけど、ぜひ見てほしいです。
伊藤:合わない作品は無理にとは言わないんですけど、見てほしいですね。
板近:ですね。すごく見ていただきたいし、感想なども聞かせていただきたいと思っています。まだ、作品の存在を知らない人に、届いてほしいとも思いますし。
伊藤:なので、ぜひね、周りにも紹介していただき、我々の作品を広めていただけたらと。
板近:お願いいたします! あ、Twitter。Twitterの紹介とかいいですか。
伊藤:OKです!
板近:猫と鯰舎のTwitterでは、更新のお知らせなどしているのでフォローしていただけると嬉しいです。
伊藤:僕も合同会社あにめ東京のTwitterでお知らせしているので、お願いします。
板近:伊藤さんは今、新作つくられてますよね。せっかくなので本日最後に、PRタイムなんてどうですか。
伊藤:はい。「スペースマンX~すごい宇宙大冒険~」というアニメを作っています。

板近:本日話に出た、スペース名古屋を舞台にした。
伊藤:スペース名古屋を舞台にした……なんていうんでしょう、すごい大冒険(笑)。
板近:私はもちろんアニメそのものには関わっていないんですけど、制作決定のリリースを出す時の文章づくりをお手伝いさせていただいて嬉しかったですね。
伊藤:お手伝いいただきありがとうございました。
板近:こちらこそありがとうございました。伊藤さんから掲載したい内容をまとめた原稿をいただいて、それを公開用に調整するというお仕事で。
伊藤:リリース仕上げてもらったときにも伝えましたが、しろちゃんが手を加えたらキャラクター紹介文がより暗くなってよかったです。
板近:それは言われるまで気が付かなかったです(笑)。
伊藤:(笑)
板近:伊藤さんから預かった原稿を見てから、どんな作品になるかすごく楽しみで。
伊藤:スペースマンXは、意外と王道展開つらぬいてますよ。
板近:伊藤さんから王道って聞くと、より「どうなるんだろうな」って思います。
伊藤:(笑)。だいぶ仕上げの段階に入ってきて、あと1カット埋まれば、素材揃って研磨していくだけという状況まで来ていて。(※2022年11月18日時点での話です)
板近:おお! 私は、主役の顔が好きですね。主役のエックスさんの絵を見た時に「伊藤さんの主役の顔だ!」みたいに思って。まだ、そんなにたくさんの伊藤さん作品を見たわけではない私が、そんな風に語るのも申し訳ないんですけど。

熱血漢で少しお調子者の本作主人公。廃品回収をしながら自力でレース用マシンを組み立てるメカオタク。ジャンクを修理したモビルホイール“レッドロボ”に搭乗する。レース参加は14歳の時に事故で失った、恋人パトリシアの肉体を復元する資金を集めるため。 ©MakiITO/AnimeTOKYO
伊藤:いえいえ。今回の主役のエックスは元々3Dのガイドモデルがあるんですけど……うーん、これ言っちゃっていいかな? いっか。その3Dモデルはケンダマスターのケンちゃんのモデルを魔改造して作ったやつなんですね。
板近:ああ、だから! お話したとおり、私は「またケンちゃんに会いたいな」みたいなところがあったんですけど、エックスさんを見た時に、どこかケンちゃんを思い出すような感覚があったんですね。まさか、隠れケンちゃんがいたとは。
伊藤:隠れケンちゃんが(笑)。まあ、モデルは相当魔改造して、最終的にぜんぜん違うモデルになっていますし、顔描いていてもケンちゃんから変わってきちゃったので、もうケンちゃんとは別人なんですけど、根底のところにはケンちゃんのDNAを受け継いでいるかなと。
板近:なるほどですね。
伊藤:そして、板近さんのPRどうぞ!
板近:はい! では……私は今、この対談をお読みいただいているサイト「猫と鯰舎」で連載をしています。現時点で公開しているのは、猫と鯰舎のデビュー作である「そこに沈む魔女シリーズ」で、全て無料で読んでいただくことができます。
伊藤:シリーズなんですよね。
板近:はい。そこに沈む魔女シリーズは長編の「アクアリウムライライラ」、短編集の「オーフィッシュオレンジ」の二本を同時連載しています。この二本はどちらから見てもらっても大丈夫ですし、片方だけ見ていただいても大丈夫です。
伊藤:お話の内容の紹介はいいですか?
板近:では、お言葉に甘えまして……! アクアリウムライライラはアクアリウム、つまり水槽の中に迷い込んでしまった魔導士のお話です。最近第一部が完結しました。こちらは続きものなので、一覧ページの一番上の話から見てもらえると嬉しいです。アクアリウムの知識がなくとも読んでいただけるようになっていると思いますので、ぜひ!

伊藤:もう一つは短編集で。
板近:ええ。短編集であるオーフィッシュオレンジも魔法使いたちの物語なのですが、舞台は様々で、戦場や監獄、カフェであったり、医療現場であったり、家庭の話であったりといろいろです。オーフィッシュオレンジは一話一話、全部読み切りなのでどの話から見てもらっても大丈夫です。
伊藤:ぜひみなさん、手のつけやすいところから読んでもらってどんどん世界観に。
板近:よろしくお願いいたします! あと、「人物録」「魔導辞典」「性悪善説」というページもあります。これらも、そこに沈む魔女関連のコンテンツですが、小説ではありません。人物録はそのまま登場人物のリスト、魔導辞典は用語集的なもの、性善悪説は本日お話した彩内リオの歌詞集となっています。こちらもお好みで読んでいただければ。
伊藤:サイトに初めて迷い込んだお客様はどこから手をつけるのがおすすめですか。
板近:どうでしょうね……まずはトップページを見てもらって、好きなところから見てもらえればいいかなとも思うんですが、今日は、伊藤さんとの対談ですし、この対談を読んでくれた方には、伊藤さんが書評を書いてくれた三つの短編「汗の如し」「カワウソよ走れ」「痛みの愉しみ方」のどれかから読んでもらいたい気持ちもありますね。
伊藤:まさかのそこから!
板近:あの三本の短編は、伊藤さんの書評と合わせて読んでもらうとより楽しめると思うんです。三つのお話は、短編集の一覧ページから見れますのでよろしくお願いいたします。
伊藤:先程しろちゃんも言ってましたけど、短編集はどこからでも読めるように作ってありますもんね。
板近:はい! どれから読んでもらっても大丈夫です。
伊藤:そういえば、最近しろちゃんは新作小説を書いていると……チラッとお聞きしたのですが。
板近:ちょうど昨日(2022年11月17日)の会議で、完全新作小説の第一部の原稿をだっくるさんに提出しました。
伊藤:おお!
板近:まだタイトルや概要は言えないのですが、そこに沈む魔女シリーズとは、また少し違った猫と鯰舎をお見せできるのではないかなと思います。そのあたりのお知らせも猫と鯰舎のTwitterでお知らせしますので、何卒、フォローよろしくお願いいたします。
伊藤:僕もTwitterのフォローお願いいたします! それではしろちゃん、本日はありがとうございました!
板近:伊藤さん、お忙しい中ありがとうございました!


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